2020年4月3日
森産科婦人科病院 理事長
森 泰宏
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大防止につき、日頃より皆様のご理解ご協力いただき感謝申し上げます。
受診制限、各種院内イベントの中止、付添や面会の制限などたいへんご不便をおかけしておりますが、現時点では当院の診療体制については支障をきたしていないことをご報告いたします。
現在も当院には妊娠されているかた、これから妊娠を希望されているかたが多数ご来院されています。引き続き、感染拡大防止にご協力いただけますようおねがいいたします。
さて、2020年4月1日、日本生殖医学会より「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する日本生殖医学会からの声明」が告示されました。
「…現時点において、COVID-19の死亡率はインフルエンザの10~15倍と考えられており、そのほとんどが急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に関連したものと考えられます。COVID-19が妊娠、特に妊娠初期の胎児に及ぼす影響は明らかになっておらず、母体から胎児への感染の可能性は不明です。また妊婦におけるCOVID-19の感染リスクが高いとはいえません。一方で、妊婦においてCOVID-19感染の重症化の可能性が指摘されていることや、感染時に使用される治療薬として妊婦に禁忌の薬剤による治療が試行されていることから、不妊治療による妊娠が成立したあとのCOVID-19感染への対応に苦慮することが予想されます。また受診や医療行為に関連した感染の新たな発生も危惧されます。このような背景から、国内でのCOVID-19感染の急速な拡大の危険性がなくなるまで、あるいは妊娠時に使用できるCOVID-19予防薬や治療薬が開発されるまでを目安として、不妊治療の延期を選択肢として患者さんに提示していただくよう推奨いたします。また、すでに調節卵巣刺激を開始し採卵を予定している患者さんについては、胚凍結の上で上記の状況を踏まえて胚移植時期を検討してください。胚移植を予定している患者さんについても同様の検討をおねがいいたします。人工授精、体外受精・胚移植、生殖外科手術などの治療に関しては、延期が可能なものについては延期を考慮ください。…」
世界保健機関(WHO)、米国生殖医学会(ASRM)、国際生殖学会(IFFS)などの国外の関連学会組織も、同様の、もしくはさらに積極的な診療の延期を推奨しています。
当院でもこのような情勢に鑑み、現在、妊娠に向けて検査治療中、または今後予定のかたにつきましては、担当医師とあらためてご相談の上、今後の診療方針(継続・延期など)を検討していただきたいと考えております。
(地域や感染状況により医療環境が異なりますが、現時点では当院の診療内容自体には変更・支障はありません。*2020.4.3時点)
ご不明な点、ご心配なことについては、担当医師・スタッフにご遠慮なくお問い合わせください。
今後の状況の変化に応じ、望ましい対応・方針に変更があり得ることをご了承ください。